アルバニア語やことばについて感じたこと

アルバニア語やことばについて感じたこと

アルバニアを旅すると言葉の多様性に驚かされる。

同時に人のエネルギーを感じさせる。腹から出された声、威勢のいい男どもの声、世間話をするおばちゃんの声の通り具合。

僕たち日本人にとって、アルバニア語は未知の言語だ。一応、英語やドイツ語、フランス語などと同じインド・ヨーロッパ語族に分類されるのだが(ちなみに日本語は未だに系統がわかっていないらしい)、独自の道を歩み続け、親戚に当たる言語は無いと言われている。つまり、アルバニア語だけでグループを使っているほぼ独立した言葉だ。彼らのプライドを支える一つの要素だと口を揃えてアルバニア人たちは僕に語ったのだが、んなもんわかりっこない。とはいえ、アルバニアの歴史を見てみると、結構バルカン半島の歴史が言葉に影響を与えているらしい、どういうことだろう*?

ただ、言葉の知識よりも我々旅人には実利が必要だ。アルバニアに行って、どのように彼らとコミュニケーションをとれば良いのだろうか。
僕が10代から80代くらいまでの方とお話をした結果、いくつかのことがわかってきた。
目安としては、世代別で使用できる言語は、以下に分かれるようだ。
10代から30代くらい アルバニア語+英語(+個人で習得した言語 ex. イタリア語、ギリシャ語、フランス語、ドイツ語など)
30代から50代くらい アルバニア語+イタリア語(+個人で学習した言語 ex. 英語、ギリシャ語、フランス語、ドイツ語など)
50代以上     アルバニア語+ロシア語(+個人で学習した言語 ex. 英語、ギリシャ語、ブルガリア語など)

もちろん、これは「主として」であって、万人に当てはまるわけではない。が、基本的に3言語以上話せるのが基本と考えて良いだろう。皆さんが学習している言語が何かあれば、それを試すことができる国、と行っても過言ではない。しかし、このように彼らがたくさんの言葉を話せるのはなぜだろう?

アルバニアは1944年からソ連やパルチザンによって社会主義体制が建てられたあと、非常に閉じた国となっていた。鎖国時代と表現する方もいる。その時代、アルバニアはヨーロッパ最貧国となった。もちろん国民は外国への旅行をすることも許されていなかったのだが、1990年ごろから徐々に開放路線を取り、1991年に社会主義体制が崩壊したのち、外国に出られるようになった国民はお金を求め、出稼ぎに出るようになった。当然、そうなれば彼らは言葉を習得する。話したアルバニア人達に聞く限り、出稼ぎ先として一番多かったのは近隣の西側諸国であるイタリアやギリシャだそうだ。特にアルバニア南部のジロカストラ州やサランダあたりの街では今でもギリシア文字との併記が見られるが、ギリシャの影響が大きいのだろう。

僕が話した人の中で、僕が昔、言語に関係がある研究をしており、スペイン語や英語、ドイツ語、ロシア語を使うことがあったと伝えると、
「僕はスイスに出稼ぎに行ったんだ。あの頃は1日も休みがなく、本当に辛かったけど、今ではドイツ語を話せるしそれはどこかで役に立っているよ」と言ってくれた方もいたし、バス停がわからず迷子になっていると、イタリア語で「お前日本人か、バス停はあっちだぞ、連れて行ってやる!」などと言ってくれる方もいた。アルバニアでは英語が通じず、イタリア語が通じると聞いて、最低限のフレーズを勉強したのだがこれが非常に役に立った。9日程度の滞在で毎日イタリア語は使った。付け焼き刃でもなんとかなるもんだと、言葉の学習は楽しいなと思った瞬間だ。

少し話は逸れたが、アルバニアで言葉を使う際は、先ほどの年齢別テーブルを考えつつ、優先順位を決めてみると良い。英語、イタリア語、ドイツ語、スペイン語・・・などと。もちろん付け焼き刃でも構わない。これも道を訪ねた女性に聞いたことだが、アジア人が話しかけようとしてくれるだけでとても嬉しいし驚いた、と。言葉は手段となり、あなたの旅を助けてくれるだろう。その時は、アルバニア語でこう言ってみて欲しい、”Faleminderit. (ファレミンデリット)”。アルバニア語で「ありがとう」。その時、伝えた彼らの表情を見れば、あなたの旅はきっと一生ものの思い出になるはずだ。

*バルカン言語連合というのだが、バルカン半島にある国々はほとんど違う親戚のようなもので、オスマン帝国支配下のもの相互交流があったことなどから、親戚なんだけど言葉の特徴に影響を与えてしまった結果、例えばブルガリア語の中にトルコ語っぽい単語や文法が入ってしまうなど、そんな感じの現象のこと。
→バルカン言語連合

以下参考までに、
サランダは特に南部の街だ。地図だとこの辺りの位置だ。

以下のテキストでイタリア語やドイツ語を勉強しました。
まいにちイタリア語(NHK出版) ←厳密に言えばこのテキストではないのですが、現在手に入るもの・・・ということで・・・。

旅するイタリア語(NHK出版) ←旅に特化したNHKの語学番組のテキスト。旅先で使うシンプルなフレーズと簡単な文法が学べる。

イタリア語のしくみ(白水社)

まいにちドイツ語(NHK出版)/旅するドイツ語(NHK出版) ←後者は特に旅に特化しており、比較的新しい語学教育のメソッドが取られている。一つのフレーズからどんどん派生して使えたり、その返事も詳しく紹介されているので旅初心者でもとっつきやすいし準備ができる。

しかし今日はちょっと固い記事になってしまった・・・苦笑