コソボ訪問記5:入国初日。旅のはじめにすること

コソボ訪問記5:入国初日。旅のはじめにすること

ここまでのお話




到着ゲートでは僕の名前を書かれた紙を持った青年が。ドライバーとしてホテル付きで働いているらしい。名前は何度聞いても覚えられなかった。同い年で誕生日が6日違いの青年。サッカーが好きで、毎週末見に行くのが趣味らしい。

30分ほどの車内、彼は熱く語った。開口一番に東京のことを質問攻めにし、北朝鮮は悪だとか(この国では金正恩をキム・ヨンと発音するらしい)、ブロックチェーンは最高だとか、唾を飛ばしながら、僕の目を見ながら運転する。おかげで何度も急ブレーキを踏んだ。僕はずっと前を向きながら「車、車」と言うと「わかってる」と開き直るのだが、絶対にわかっていない。たくさんの凹みが物語っている。

僕がプリシュティナで滞在したホテルは、厳密に言えばプリシュティナにはない。西方の地区「Fushe Kosovë」と呼ばれる街で、いわゆる郊外に相当する。6階建てのホテルの他に高い建物はなく、ホテルの前にはショッピングモールがあった。受付の女性はとてもシンプルで、かなりカールがかかった眉毛が印象的。「もうここで働いて長いの?」そう尋ねると「やっと見つけた仕事なのよ」と僕に語る。

「観光情報でもなんでも聞いて、この国は情報が少ないから大変でしょう」とも。いくつか質問するうちに、彼女でもわからないことがあるとすぐにスマホを出して調べてくれる。個人的にレセプションで長く話すことが楽しみなのだ(もちろん迷惑はかからないように)。

入国してまずチェックインする。その時に話すことで、日本で得た情報の付け合わせや、はたまた日本では得られなかったことも知れる場合がある。話しているとお腹がなった。思えば日本を出て20時間。ほぼ何も食べていなかった。

彼女に尋ねるとモールの向かいにあるレストランのサンドイッチがおいしいらしい。すぐにそこで昼を食べた。初めての食事は「イタリア風のサンドイッチ」。この国はそれがうまいらしい。

どうやっていくの? そう尋ねると鼻で笑われた。

「ホテルの前よ」

ニヤッとしながら彼女は言う。

「一緒に行く?」