コソボ訪問記7:バスに乗れば

コソボ訪問記7:バスに乗れば

ここまでのお話






バスに乗ると、バスのドアの真ん前で喫煙者がいるせいか、風に煽られてバス全体が煙臭い。この国はそこら中に吸い殻が落ちており「禁煙者」の存在などと信じてもらえないのではないか、そのくらい不思議な存在だ。

街を歩いていると「タバコはあるか?」「ライターを貸してくれ」と尋ねられることも多い。その度にさまざまな言語で断ってきたのだが、そのときの彼らの表情はまるで信じられないものを見るかのようなもの。とはいえ、日本でもちょっと前まではそうだったのだろう。ここ数年で喫煙者は急に肩身が狭くなったようだが、この先はどうだろうか。

個人的に「喫茶店」が好きなのを思い出した。というか、流行した時にそれに乗った。確かに内容はよく、BGMもかかる、店員さんのサービスも良いし、なにより新聞などが読める。でも必ず帰り道にはすっかり燻された自分の体がいやでいやでたまらなかったものだ。

とはいえ、未だに友人にも喫煙者は多いし、個人的には自分に害がなければなんでもないと思っている。話が逸れた。

バスには結構な数の人が乗り込んできており、やはり言語がまじりまじりなのが面白い。少なくとも「セルビア系」の人(特に肩身は狭いはずだが)も堂々と言葉を話すのだ。なんだか新鮮だった。

バスが出発するとタバコを吸っていたおじさんがチケットと言い出した。バルカン半島でよくある「バスの添乗員」が集金業務を負っているあれだ。僕も先刻もらった「レシート」を見せると首を横に振りながら”No.”というのだ。なんなんだ、と困っていると隣のお姉さんが 英語で“40セント”という。ああ、指定席券とチケット代は別なのだと今更ながら理解した。先ほどの10セントは「席料」であって「運賃」ではないようだった。説明して欲しかった……。バスターミナルを出るとバスが急停車した。どっと人が乗り込んできた。10セントを節約するためだろうか。実質席の争奪戦。エネルギーが違う。怖い。